会長挨拶

日本作業療法研究学会は2006年に設立した新しい学会であります.しかし,本学会の歴史は古く,作業療法基礎研究会として1989年に始まっております.当時は作業療法士が,「作業療法について語れる場」はありませんでした.そこで,当時作業療法の基礎的な研究(技術,考え方,理論など)をしていた諸先輩方が,本気で語り合える場を作ろうという志を持って設立されたと聞いております.

今日,作業療法士は,これまでの医学という限定された領域から福祉,教育,地域社会へと幅広い領域へ活動が拡がっております.特に高齢化社会においては,生活の維持や手法の再獲得,さらには認知症への対応など作業療法の役割に対して大きな期待が込められております.その中で,「作業療法士の行なっていることが世の中にどう役立っているか」については作業療法士自身が十分に顧みてきませんでした.そこで,本学会では,作業療法の効果を明確し,そのエビデンスを追求し,そして,作業療法を啓蒙しながら社会への貢献を進めていくことを目的にしています.

また,本学会では「ひとの健康」について作業という観点から討論することも重要であると捉えております.作業療法では多種にわたる疾患・障害を有する人たちと協働して作業(日常生活を含む)の方法を模索していきます.そして,そこに介在する作業について考えていきます.

本学会の活動は学術大会を年1回,学術誌(日本作業療法研究学会雑誌)を年2回発刊しておりますので,多くの参加をお願いいたします.

日本作業療法研究学会
会長 清水 順市